YAGOPIN雑録

この町を歩く

京都御所紫宸殿

● 京都一周ぐるり旅・4

粟田口から白河へ

京都模式図

 2004(平成16)年3月28日、すっかり春らしくなり、また京都に行きたくなった。円山公園の桜は 3分咲きから5分咲きといったところだが、樹によっては満開近く咲いているものもある。 2002(平成14)年に国宝指定を受けた巨大な三門をくぐって知恩院へ。山門にかかる「華頂山」の扁額は霊元天皇の宸筆という。徳川将軍家の宗派が浄土宗だったため、浄土宗総本山である知恩院は江戸時代、幕府の厚い保護を受けてきた。先の三門は徳川秀忠、本堂(御影堂)は徳川家光の建立であり、桃山文化を体現した雄大な建築となっている。知恩院七不思議のひとつに数えられる鶯張りの廊下を通って裏手の小方丈や庭園を拝観し、高台にある法然の廟へと上がる。大方丈は2005(平成17)年3月まで工事中のため見学できなかった。

 知恩院から青蓮院に向かう途中、「大谷本願寺故地」の石碑が立つ。親鸞は、青蓮院の門主で『愚管抄』の作者としても知られる慈円について得度しており、もともと青蓮院の境内の一部であったこの地に墓と堂が造られたのが本願寺の始まりだそうである。花園天皇陵の前を過ぎた先にその青蓮院。粟田御所とも呼ばれる青蓮院は、皇族が仏門に入った際に居住する「門跡寺院」で、御所になぞらえた宸殿があり、その前には右近の橘・左近の桜が植わっている。天明年間の皇居炎上後には、後桜町上皇(女院)の避難場所となった。JRのポスターにも使われた庭園は室町時代に作られたともいわれるもので、見事に咲いた紅梅の下に豊臣秀吉が寄進した一文字の手水鉢が置かれている。

知恩院三門
知恩院
方丈拝観料400円
9:00~16:30
浄土宗
主なみどころ:三門(国宝・写真)、御影堂、七不思議
青蓮院
青蓮院
500円
9:00~17:00
天台宗
主なみどころ:庭園(写真)、宸殿、青不動(国宝)、一文字手水鉢、門前の大クスノキ

 粟田神社におまいりしてから旧東海道を横断する。このあたりが京の七口のひとつ粟田口である。大きな赤い鳥居をくぐって平安神宮へ。平安神宮は1895(明治28)年に平安遷都1100年を記念して造営された。その本殿は平安宮の大極殿を2分の1に縮小したものである。平安神宮は2度ほど来ているが、裏手の神苑は初めて見た。山々を借景とし、大きな栖鳳池に橋殿などの建物が映る東神苑がなかなかよい。桜がもっと咲けば見事だろう。平安神宮を出て、琵琶湖疎水沿いに歩いていくと、「白河南殿跡」の碑が目に留まった。ここ白河付近は、白河法皇や鳥羽法皇による院政時代に、白河南殿・北殿といった御所や、「六勝寺」と総称される法勝寺・尊勝寺・最勝寺・円勝寺・成勝寺・延勝寺といった寺院が建ち並んでいた場所である。特に現在の市立動物園の位置にあった法勝寺には高さ81mに及ぶ壮大な八角九重塔があったが、1342(康永元)年の火災で焼失して以後は再建されなくなってしまった。

 さらに疎水沿いに進むと琵琶湖疎水の建設を計画した京都府知事・北垣国道の像が立っている。琵琶湖から京都に至る琵琶湖疎水は、東京遷都により活気の失われた京都を産業都市として再生させるために建設された。現在でも、水道・かんがい・発電などに用いられており、像のすぐ下手では1914(大正3)年に造られた夷川水力発電所が稼動している。先ほどの平安神宮の池の水も琵琶湖疎水から引き込まれているそうだ。疎水の水はすぐ先の鴨川に一部注いでいるが、さらに下流へも水路がつながり、伏見区の墨染にも水力発電所がある。

平安神宮神苑
平安神宮
神苑拝観料600円
8:30~16:30(季節により延長)
祭神:桓武天皇、孝明天皇
主なみどころ:本殿、神苑(写真)
夷川水力発電所
夷川水力発電所

(拝観料・拝観時間は変更されている場合がありますので、御注意ください。主なみどころは、作者の独断によるもので、作者が見ていないものは外していますので、参考程度に御覧ください。)

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