YAGOPIN雑録

世界あくせく紀行

サンフランシスコ市庁舎

● サンフランシスコ編・ワインカントリー

9月19日(日曜日)

 朝のうちの雨はすっかり上がって、お日様がぶどう畑を照らしている。黄色やピンク色のバラの花に彩られたワイナリーの庭にはテーブルと椅子が並べられていて、テーブルの上には生牡蠣が積まれている。グラスに映り込んだ青空とともに白ワインを飲み干し、牡蠣の山から、殻の長さが10cm以上はある大きなやつを一つ取り上げる。レモンを絞って、中身を一息にすすり出すと、みずみずしい「海のミルク」は、ほのかな潮の味を舌に残して、するりと喉をすべり落ちていった。

 ここは、サンフランシスコから北へ100kmほどのところにあるカリフォルニア州ソノマ郡。ソノマ郡は隣接するナパ郡とともに、カリフォルニアワインの産地「ワインカントリー」として知られており、あちこちにワイナリーが点在している。今日のワインは、このワイナリー「ロキオリ・ヴィンヤード」のシャルドネ。牡蠣は、行きがけにトマレス湾に面した販売所で買ってきた獲れたてのもの。どちらも美味しくないはずがない。飲み物も食べ物も、そして景色も最高のランチである。

ワインと牡蠣
ワインと牡蠣
広がるぶどう畑
広がるぶどう畑

 目を覚ますと車はゴールデンゲートブリッジ(金門橋)を渡っていた。アルコールが回っていつの間にか寝てしまっていたらしい。後部座席を振り返ると田澤くんと小田、そして田澤くんの一人息子のケイちゃんがやはり3人並んでお休み中である。運転席では田澤くんの奥さんのマキさんが車内に充満する酒臭さに顔をしかめながらハンドルを握っている。学生時代の友人・田澤くんは、昨年の転勤以来、サンフランシスコに親子3人住んでおり、9月の連休を利用して、僕は、別の友人・小田とともに1週間ほど田澤宅に逗留することになっている。サンフランシスコ空港に到着した昨日は、そのまま約200km南にある、太平洋に面した景勝地・モントレーを案内してもらった。

 田澤くんは無類の酒好きで、熊本出身のマキさんも、今日は運転するので飲んでいないが、実はなかなかお酒に強い。小田も僕ももちろん嫌いな方ではなくて、2歳のケイちゃんを除けば左党の集まり(といいながらケイちゃんだって田澤夫妻の血を引いているのだから、将来相当な酒飲みになるに違いない。)、この1週間は毎日午前2時まで、カリフォルニアワインと日本土産の焼酎を片手に田澤家のリビングで語り明かしたのであった。

 ちなみに。残念ながら僕はワインのことはまったく詳しくないのだが、どうも友人たちも似たり寄ったりのようで、滞在中、赤ワインを4本並べてテイスティングし、値段の高い順に並べるというゲームをしたところ、誰も正しい順に並べることができなかった。ある人などは(名誉のため名前は伏せる。)、自信満々で48ドルのワインと1ドル99セントのワインを取り違える始末。友人たちとの楽しい宴、美味しく飲めさえすれば、結局は何でもよいのである。

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